1LDK～4LDKマンションクロス張替え費用の相場と安くする方法
「マンションのクロス張替え費用はいくらかかるのか、見積もりを取る前に相場を知っておきたい」と思いませんか？
特に2LDKや3LDKなどの間取り別の料金や、追加費用が発生するケースを事前に把握しておくことで、予算オーバーや業者選びでの失敗を防げます。
賃貸にお住まいの方は退去時の原状回復負担についても気になるところでしょう。
この記事では、部屋ごとの詳細な相場から工期、見積もりの読み解き方まで、あなたが安心してクロス張替えを進められる実践的な情報をすべてお伝えします。
マンションクロス張替え費用の相場はどれくらい？
マンションのクロス張替えを考え始めたとき、まず気になるのが「一体いくらかかるの？」という費用面ではないでしょうか。
この章では、費用相場を構成する要素を分解し、ご自宅の規模やリフォーム箇所によってどの程度の費用相場になるのかを分かりやすく解説します。
- 1LDK・2LDKの全体張替え費用と詳細内訳
- 3LDK・4LDKのボリュームゾーンの価格帯
- キッチン・トイレ・洗面所など水回りの場所別費用
- 量産型とハイグレードクロスの価格差と選び方
相場（1）1LDK・2LDKの費用目安
マンションのクロス張替え費用相場は、1LDKで15万円から25万円、2LDKで20万円から40万円が目安です。
この価格帯の幅は、主に選択するクロスのグレードによって生じています。
例えば2LDKの場合、コストを抑えた量産品のスタンダードクロスなら20万円から30万円程度で施工可能ですが、デザインや機能性に優れたハイグレードクロスを選ぶと30万円から40万円程度の費用が必要になります。
クロスの単価が上がると、総額は大きく変動することを理解しておくことが重要です。
リフォームを検討する際は、まずどのグレードのクロスをメインに使うか方針を決め、その上で見積もりを取ると予算管理がしやすくなります。
| 間取り | 施工面積の目安（壁・天井） | スタンダードクロス（総額） |
| 1LDK | 約100㎡～140㎡ | 15万円～20万円 |
| 2LDK | 約150㎡～200㎡ | 20万円～30万円 |
出典：リショップナビ「壁紙(クロス)張り替えの工事費用相場はいくら？安く抑えるポイントもご紹介」
相場（2）3LDK・4LDKの費用目安
ファミリータイプのマンションにおける全体張替えの費用相場は、3LDKで25万円から50万円、4LDKでは30万円から60万円が目安となります。
特にご依頼の多い3LDKでは、30万円台から40万円台が中心的な価格帯です。
部屋数が増えるほど施工面積と工期が長くなるため、総額も大きくなる傾向があります。
例えば3LDK全体を張り替える場合、スタンダードクロスなら25万円から35万円、ハイグレードクロスを選ぶと35万円から50万円程度の費用が発生します。
複数の部屋をまとめて施工すると、養生や準備が一度で済むため、部屋ごとに依頼するより割安になるケースがほとんどです。
全体の費用相場を把握したら、張り替えたい場所の優先順位を決め、計画的に進めることが費用を賢く抑えるコツです。
| 間取り | 施工面積の目安（壁・天井） | スタンダードクロス（総額） |
| 3LDK | 約200㎡～250㎡ | 25万円～35万円 |
| 4LDK | 約250㎡～300㎡ | 30万円～45万円 |
出典：リショップナビ「壁紙(クロス)張り替えの工事費用相場はいくら？安く抑えるポイントもご紹介」
相場（3）キッチン・トイレ・洗面所など場所別の費用
水回りを部分的に張り替える際の費用相場は、キッチンで4万円から6万円、トイレで2万5千円から4万5千円、洗面所が3万円から5万円が目安です。
これらの場所は、居室に比べて面積が狭いにもかかわらず、費用が割高に感じられるかもしれません。
その主な理由は、キッチンでは調理器具や家電の移動が必要なこと、トイレや洗面所では狭い空間での作業に手間がかかるためです。
また、水回りでは汚れ防止や防カビ、消臭といった機能性クロスを選ぶことが多く、その分材料費も上がります。
ただし、トイレの壁1面だけといった小規模な工事なら1万円前後で済むこともありますし、他の部屋と同時に頼めば追加の工賃なしで対応してくれる業者もいます。
水回りはまとめて依頼するのが、費用を抑える基本テクニックです。
| 箇所 | 費用相場（材料＋施工費） | 備考 |
| キッチン | 4万円～6万円 | 家電移動や養生に手間がかかる |
| トイレ | 2万5千円～4万5千円 | 狭小スペースでの作業効率が低い |
| 洗面所 | 3万円～5万円 | 機能性クロス（防カビ等）が選ばれやすい |
出典：リショップナビ「壁紙(クロス)張り替えの工事費用相場はいくら？安く抑えるポイントもご紹介」
相場（4）クロスの種類による価格差
クロス張替えの費用相場は、選択するクロスの種類によって大きく変動します。
クロスは大きく「スタンダード（量産品）」と「ハイグレード（1000番台）」の2種類に分けられ、それぞれ単価が異なります。
スタンダードクロスは大量生産されるため安価で、白系のシンプルなデザインが中心です。
一方、ハイグレードクロスはデザインやカラーが豊富なだけでなく、汚れ防止、吸放湿、ペット対応、抗アレルギーなど、付加価値の高い機能を持つものが多く揃っています。
リビングのメインの壁はデザイン性の高いハイグレード品を、寝室や収納内部はスタンダード品を選ぶなど、部屋の用途に合わせて機能とコストのバランスを考えて選ぶのがおすすめです。
| グレード | 平米単価の目安 | 主な特徴 |
| スタンダード （量産品） |
1,000円～1,300円 | シンプル、安価、機能性は基本的なもの |
| ハイグレード （1000番台） |
1,500円～2,000円 | デザイン豊富、高機能 （汚れ防止・吸放湿・ペット対応など） |
出典：リショップナビ「壁紙(クロス)張り替えの工事費用相場はいくら？安く抑えるポイントもご紹介」
クロス張替え費用の内訳と追加費用は？
見積書を見て「思ったより高い…」と感じることがあるかもしれません。
それはクロス張替え費用には、クロス本体の価格以外にも様々な諸経費が含まれているためであり、費用の内訳を正しく理解することが重要です。
- 材料費と施工費の基本的な構成と計算方法
- 養生費・下処理費・廃材処理費の発生条件と相場
- 家具移動費と駐車場代などの付帯費用
- 見積もり表示での注意点と業者比較のポイント
内訳（1）材料費と施工費の基本構成
クロス張替え費用の内訳における基本構成は、以下の2つです。
- 材料費
- 施工費
材料費は文字通りクロスそのものの価格であり、施工費は職人さんがクロスを張るための技術料や人件費を指します。
これらを合計した1平米あたりの単価相場は、1,000円から2,500円程度が目安となります。
例えば、壁と天井の合計面積が約50平米の6畳一間の部屋であれば、総費用は5万円から12万5千円程度になる計算です。
この価格に幅があるのは、選ぶクロスのグレードによって材料費が大きく変動するためです。
また、見積もりを確認する際に注意が必要なのが、単価の単位です。
多くの業者は平米単価（1m×1m）で見積もりを作成しますが、一部ではメートル単価（1m×約0.9m）を使用する場合があります。
メートル単価はクロスのロール幅を基準にしているため、平米単価よりも一見すると安く見えますが、総面積で計算すると大差ないか、場合によっては割高になる可能性もあります。
複数の業者から見積もりを取る際は、正確な比較のために単位を揃えてもらうように依頼することが大切です。
内訳（2）養生費・下処理費・廃材処理費
材料費と施工費という基本料金以外に、費用の内訳として見落としがちなのが諸経費です。
特に以下の3つは、ほとんどの工事で発生すると考えておくべき費用項目です。
- 養生費
- 下地処理費
- 廃材処理費
養生費は、床や既存の家具、建具などを工事中の汚れや傷から保護するための費用です。
室内の養生で5,000円程度からが目安ですが、マンションの場合はエレベーター内や共用廊下の養生が管理規約で義務付けられていることが多く、その場合は別途追加費用が発生します。
下地処理費は、古いクロスを剥がした後の壁の凹凸やひび割れをパテで補修する費用です。
壁の状態によって大きく変動しますが、一般的な補修であれば35,000円前後が目安となります。
廃材処理費は、剥がした古いクロスや工事中に使用した養生材などを処分するための費用です。
これらの費用が見積もりに「諸経費一式」として含まれているのか、それとも別途請求されるのかは業者によって異なります。
特に下地の状態は実際にクロスを剥がしてみないと正確に判断できないことも多く、追加費用が発生する可能性について事前に確認しておくことが重要です。
| 諸経費の項目 | 費用の目安 | 備考 |
| 養生費 | 5,000円～ | マンション共用部の養生は別途追加 |
| 下地処理費 | 35,000円前後 | 壁の状態により大きく変動 |
| 廃材処理費 | 20,000円前後 | 古いクロスや養生材の処分費用 |
内訳（3）家具移動費と駐車場代
住みながらのリフォームを行う場合、家具の移動も費用の内訳に影響を与える要素です。
クロスを張り替える部屋にある家具は、当然ながら事前に移動させる必要があります。
テーブルや椅子など、比較的軽量で移動しやすい家具についてはサービスで対応してくれる業者も多いですが、大型の食器棚やタンス、ピアノといった重量物の移動は専門的な作業となるため、別途費用が発生するのが一般的です。
大型家具1点につき2,000円程度が相場で、業者によっては家具移動専門のスタッフを手配することもあります。
注意点として、移動の対象となるのは作業する部屋にある家具だけではありません。
資材の搬入経路となる廊下や玄関に大きな家具が置かれている場合、動線の確保のためにそれらの移動も必要です。
また、工事車両を敷地内に停めるスペースがない場合は、近隣のコインパーキングを利用するための駐車場代が実費で請求されることがあります。
費用を少しでも抑えたい場合は、動かせる範囲の家具は事前に自分で移動させておき、タンスの中身を空にしておくといった準備をしておくと、作業がスムーズに進み、結果的にコスト削減につながります。
内訳（4）見積もり表示で注意すべき点
複数の業者から見積もりを取得して比較検討する際は、費用の内訳を詳細に確認することが不可欠です。
総額の安さだけで判断するのではなく、どのような工事内容にいくらの費用がかかっているのかを正確に把握する必要があります。
特に注意すべきポイントは、以下の2点です。
- 単価の単位（平米かメートルか）
- 諸経費がどこまで含まれているか
例えば、古いクロスを剥がす作業や下地処理費用が基本の施工費に含まれず、㎡あたり400円追加など別途料金として計上されているケースがあります。
一見すると単価が安く見えても、これらの追加費用を加算すると、結果的に他の業者より高くなる可能性があります。
また、見積書に「諸経費」や「雑費」といった曖昧な項目がある場合は、その具体的な内容を必ず担当者に確認しましょう。
優良な業者であれば、養生費や廃材処理費、交通費など、何にいくらかかるのかを明確に説明してくれます。
料金だけでなく、提案されているクロスのグレードや業者の実績、アフターフォローの体制なども含めて、総合的に判断することが、納得のいくリフォームにつながります。
マンションでクロス張替えをする際の注意点は？
戸建てのリフォームとは異なり、マンションでのクロス張替えには集合住宅特有のルールが存在します。
管理組合への申請や近隣住民への配慮といった注意点を事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに工事を進めることができます。
- 分譲マンションでの管理組合への届出手続きと必要書類
- 工事可能時間の制限と近隣住民への配慮事項
- 施工期間中の生活への影響と対策方法
注意点（1）分譲マンションでの管理組合への届け出
分譲マンションでクロス張替えを行う際の最初の注意点は、管理組合への事前申請が原則として必須であることです。
自分の所有する専有部分のリフォームであっても、工事を行う際は管理規約に定められた手続きを踏む必要があります。
まずはご自身がお住まいのマンションの管理規約を改めて確認し、リフォームに関するルールを把握することから始めましょう。
一般的には、管理組合が指定する工事申請書に、リフォーム会社が作成する工程表や仕様書などを添付して提出します。
マンションによっては、両隣や上下階の住民から工事の同意書（署名・捺印）をもらうことを申請の条件としているケースもあります。
申請から承認までには2週間以上かかることも珍しくなく、理事会の開催日にしか審議されない場合もあるため、工事を希望する日の1ヶ月以上前には手続きを開始するのが理想的です。
この申請手続きを怠ると、工事の中止を求められたり、最悪の場合は原状回復を指示されたりする可能性もあります。
手続きの進め方に不安がある場合は、マンションリフォームの実績が豊富なリフォーム会社に相談し、申請の代行を依頼できるか確認してみましょう。
注意点（2）工事可能時間と近隣への配慮
工事中の騒音や臭いに関する近隣住民への配慮も、マンションリフォームにおける重要な注意点です。
多くのマンションでは、管理規約によってリフォーム工事が可能な時間帯が定められています。
一般的には「平日の午前9時から午後5時まで」のように設定されており、土日祝日の工事は禁止されていることがほとんどです。
クロス張替えは、電動工具を多用するような大きな音が出る工事ではありませんが、作業員の出入りや作業音、接着剤の臭いなどがどうしても発生します。
そのため、工事が始まる前に、ご近所へ挨拶回りをしておくことが円滑な関係を保つために不可欠です。
最低でも両隣と上下階のお宅には、工事の期間や時間帯、リフォーム会社の連絡先などを記載した書面を持参して、直接ご挨拶に伺うのがマナーとされています。
マンションの掲示板に管理組合から工事のお知らせが掲示されることもありますが、それとは別に直接お声がけすることで、相手に与える心象は大きく変わります。
特に、在宅で仕事をされている方や小さなお子様がいるご家庭への配慮は大切です。
万が一、工事日程が変更になる場合も、速やかにその旨を報告しましょう。
注意点（3）施工期間と生活への影響
住みながらクロス張替えを行う場合、工事期間中の生活への影響を具体的にイメージしておくことも大切な注意点です。
クロス張替えにかかる施工期間は、6畳から8畳程度の個室で半日から1日、広いリビングダイニングでは1日から2日が目安です。
マンション全体の壁と天井を張り替える場合は、数日から1週間程度かかることもあります。
工事期間中は、作業対象となる部屋は基本的に使用できません。
また、古いクロスを剥がす際にはホコリが舞い、新しいクロスを張る際には接着剤の臭いが発生します。
リフォーム会社は、床や家具を保護するために養生を徹底してくれますが、施主側でも窓を開けたり換気扇を回したりして、積極的に換気を心がけることが重要です。
柄物のクロスは、無地のクロスに比べて柄を正確に合わせるための作業が必要になるため、施工時間が少し長くなる傾向があります。
生活への影響を最小限に抑えるためには、「普段あまり使っていない部屋から工事を始める」「週末に作業を集中してもらう」など、ご自身の生活スタイルをリフォーム会社に伝え、スケジュールを調整してもらうように相談しましょう。
クロス張替え費用を抑える方法は？
リフォームは満足度が大切ですが、同じ品質であれば少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。
ここでは、マンションのクロス張替え費用を抑えるための具体的な方法を4つご紹介し、予算内で満足のいくリフォームを実現するための工夫を解説します。
- 量産クロスを選んでコスト削減
- 複数箇所を同時施工して単価を下げる
- 相見積もりで適正価格を把握
- DIYと業者依頼の境界を見極める
方法（1）量産クロスを選んでコスト削減
クロス張替え費用を抑える最も効果的な方法は、量産型のスタンダードクロスを上手に活用することです。
スタンダードクロスは、デザインや機能性をシンプルに絞って大量生産されているため、ハイグレードクロスと比較して材料費を2割から5割ほど抑えることが可能です。
壁や天井の大部分をこのスタンダードクロスで仕上げるだけでも、総額は大きく変わってきます。
「でも、せっかく張り替えるならデザインにもこだわりたい」と考える方も多いでしょう。
その場合におすすめなのが、アクセントクロスという手法です。
これは、部屋の壁4面のうち1面だけ、あるいはテレビの背面やベッドのヘッドボード側など、特に視線が集まる一面だけにデザイン性の高いハイグレードクロスを採用する方法です。
大部分はコストを抑えたスタンダードクロスを使いながら、こだわりたい部分だけをアクセントとして見せることで、費用を抑えつつ、おしゃれで個性的な空間を演出できます。
普段あまり人目に触れない寝室や収納内部はスタンダードクロスにするなど、場所ごとにメリハリをつけ、全体の予算を上手にコントロールできます。
方法（2）複数箇所を同時施工して単価を下げる
複数の部屋や箇所をまとめて同時に施工依頼することも、費用を抑えるための有効な方法です。
クロス張替えには、材料費や施工費の他に、養生費や廃材処理費、職人さんの交通費といった諸経費が必ず発生します。
これらの諸経費は、1部屋だけを工事する場合でも、複数の部屋を工事する場合でも、準備や片付けの手間が一度で済むため、大きくは変わりません。
つまり、まとめて依頼することで、1部屋あたりの諸経費の負担額を下げることができるのです。
特にトイレや洗面所のような狭い空間は、単独で依頼すると作業の手間がかかるため割高になりがちですが、リビングなど他の広い部屋と同時に依頼すれば、「材料費だけで大丈夫です」と工賃をサービスしてくれる業者もいるほどです。
「将来的には子供部屋も張り替えたい」「いずれは廊下の壁も」と考えている場所があるならば、この機会にまとめてリフォーム会社に見積もりを依頼してみることをおすすめします。
中長期的な視点でリフォーム計画を立てることで、結果的に時間も費用も節約できるでしょう。
方法（3）相見積もりで適正価格を把握
適正な価格で信頼できる業者に依頼するために、必ず2社から3社から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。
これは、不当に高い費用での契約を避けるだけでなく、ご自宅の工事内容における適正な価格帯を把握するための重要な方法です。
相見積もりを依頼する際は、必ず全ての業者に同じ部屋、同じ条件を伝えて見積もりを作成してもらうことがポイントです。
条件が異なると、正確な価格比較ができなくなってしまいます。
提出された見積書を比較する際は、総額だけを見るのではなく、単価の単位（平米かメートルか）や、諸経費に何が含まれているのかを詳細に確認しましょう。
業者によっては、紹介サイトなどを介さずに会社のホームページから直接依頼することで、中間マージンがかからず費用が安くなる場合もあります。
ただし、極端に安い見積もりを提示してくる業者には注意が必要です。
後から高額な追加請求をされたり、手抜き工事をされたりするリスクも考えられます。
価格だけでなく、担当者の対応の丁寧さや実績、保証内容まで含めて総合的に比較し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
方法（4）DIYと業者依頼の境界を見極める
DIYに興味があるなら、プロへの依頼と組み合わせることで費用を抑える方法もあります。
DIYでクロスを張り替える場合、費用は材料費だけで済むため、8畳の部屋であれば2万円から3万円程度と、業者に依頼するのに比べて費用を劇的に抑えることが可能です。
しかし、プロのように気泡を入れず、継ぎ目も目立たないように美しく仕上げるのは、想像以上に難しい作業です。
特に、脚立での作業が必須となる天井の張り替えは非常に困難で、初心者にはおすすめできません。
もしDIYに挑戦するのであれば、まずは失敗しても目立たないウォークインクローゼットの内部などから試してみるのが良いでしょう。
最近では、裏面がシール状になっていて初心者でも比較的扱いやすい壁紙も市販されています。
リビングや玄関ホールなど、人目に付きやすく高い仕上がりが求められる場所はプロの業者に任せ、目立たない場所はDIYでコストを抑える、というように上手に使い分けましょう。
クロス張替え業者を選ぶポイントは？
クロス張替えの満足度は、業者選びで決まると言っても過言ではありません。
費用が安くても仕上がりが悪ければ意味がありませんので、信頼できる業者を見極め、安心して工事を任せるための3つのポイントを解説します。
- 信頼できる業者の見分け方
- 契約前に確認すべき保証内容
- 施工当日の立会いと検収ポイント
ポイント（1）信頼できる業者の見分け方
信頼できる業者を選ぶポイントとして、まず確認すべきは以下2つです。
- 施工実績の豊富さ
- 見積もりの具体性
多くのリフォーム業者は自社のホームページを持っており、そこに具体的な施工事例を写真付きで多数掲載している業者は、技術力に自信がある証拠と判断できます。
マンションでの施工実績が豊富かどうかも確認しましょう。
マンション特有のルールや近隣への配慮に慣れているため、スムーズに工事を進めてくれるでしょう。
また、こちらの質問に対して専門用語を避け、分かりやすい言葉で丁寧に答えてくれるか、工事内容や費用内訳を細かく記載した見積書を提出してくれるかも重要な判断材料です。
特に、諸経費の内訳を示さず「一式〇〇円」のような大雑把な見積もりを出す業者には注意が必要です。
価格の安さだけで判断するのではなく、口コミサイトなどで担当者の対応の丁寧さや説明の分かりやすさなどもチェックし、総合的に誠実な対応をしてくれる業者を選びましょう。
ポイント（2）契約前に確認すべき保証内容
安心して工事を任せられる業者を選ぶポイントとして、契約前の保証内容の確認は不可欠です。
正式に契約を結ぶ前に、必ず保証の期間と、どのような不具合が保証の対象になるのかを書面で確認してください。
優良なリフォーム業者であれば、通常1年から2年程度の施工保証を設けています。
この保証があれば、万が一、施工後にクロスが剥がれてきたり、継ぎ目が浮いてきたりした場合に、無償で手直しをしてもらえます。
また、「どのような場合に追加費用が発生する可能性があるのか」という点についても、具体的に説明を求めましょう。
例えば、「古いクロスを剥がした際に、想定以上に下地の傷みが激しかった場合は、別途補修費用がかかります」といった説明を、事前にしてくれる業者は信頼できます。
口頭での約束は、後々「言った、言わない」のトラブルの原因になりかねません。
保証内容、追加費用が発生する条件、工事のスケジュール、費用の支払い条件など、お互いにとって重要なことは、すべて書面に記載してもらうことが、安心して契約するためのポイントです。
ポイント（3）施工当日の立会いと検収ポイント
適切な業者を選んだ後、最後のポイントは工事完了時のチェックです。
工事がすべて終わったら、すぐに完了報告書にサインをするのではなく、必ず業者の担当者と一緒に現場を歩き、仕上がりを隅々まで確認する「完了検査（検収）」を行いましょう。
この一手間が、後々の後悔を防ぎます。
検収の際にチェックすべき主なポイントは以下の通りです。
| チェック項目 | 具体的な確認内容 |
| 継ぎ目の処理 | クロスとクロスのつなぎ目に隙間や剥がれがないか |
| 浮き・シワ | 壁紙の表面に空気が入ったような浮き シワが寄っている箇所はないか |
| コーナー部分 | 部屋の角（入隅・出隅）の処理がきれいに収まっているか |
| 周辺への影響 | 照明器具やコンセント周りのカットが丁寧か 床や巾木に糊が付着していないか |
もし気になる点があれば、どんな些細なことでも遠慮せずにその場で担当者に伝え、手直しを依頼しましょう。
優良な業者であれば、快く対応してくれるはずです。
すべての確認が終わり、納得のいく仕上がりになっていることを確認してから、完了のサインをするのが基本の流れです。
賃貸マンションのクロス張替え、退去時の費用負担はどう決まる？
「退去時に高額なクロス張替え費用を請求されたらどうしよう」というのは、賃貸マンションにお住まいの方が抱える共通の不安ではないでしょうか。
ここでは、退去時における費用負担の原則を国土交通省のガイドラインに基づき解説し、不当な請求から身を守るための知識を身につけていきましょう。
- 借主が負担する具体的なクロス張替え箇所
- 経年劣化と故意過失の判断基準
- 退去時費用を抑える対策方法
負担範囲（1）借主が負担するクロス張替え箇所
賃貸マンションの退去時におけるクロス張替えの費用負担は、貸主と借主のどちらが原因で汚損や破損が生じたかによって決まります。
この判断基準は、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で明確に示されています。
基本的なルールとして、「普通に生活していて自然に生じる損耗（経年劣化）」は貸主（大家さん）の負担、「入居者の不注意や手入れ不足によって生じた損耗（故意・過失）」は借主（あなた）の負担となります。
具体的にどのようなケースがどちらの負担になるのか、以下の表で確認しましょう。
| 借主（あなた）の負担となるケース （故意・過失） |
貸主（大家さん）の負担となるケース （経年劣化） |
| タバコのヤニによる黄ばみや臭い | テレビ裏などの電気ヤケによる黒ずみ |
| ペットによる引っかき傷や臭い | 太陽光による日焼けや色褪せ |
| 結露を放置したことによるカビやシミ | ポスター等を貼ったことによるクロスの変色 |
| 家具をぶつけてできた傷や破れ | 画鋲やピンの小さな穴 |
| 子どもの落書き | エアコン設置によるビス穴 |
このように、うっかり付けてしまった傷や、掃除を怠ったことが原因で発生した汚れは、借主の費用負担で原状回復する必要があるとされています。
負担範囲（2）経年劣化と故意過失の判断基準
たとえ借主の故意・過失によってクロスを張り替える必要が生じた場合でも、張替え費用の全額を負担するわけではありません。
ガイドラインでは、クロスの価値は時間と共に減少していくという「経年劣化」の考え方が採用されており、クロスの耐用年数は6年と定められています。
入居年数が長くなるほど、クロスの残存価値は下がり、それに伴って借主の費用負担割合も軽減されます。
例えば、張替え費用が6万円のクロスを、入居から3年で汚してしまい退去することになった場合、借主の負担額は以下のように計算されます。
「張替え費用6万円 × (耐用年数6年 – 経過年数3年) ÷ 耐用年数6年 = 借主負担額3万円 」
この計算式に基づけば、入居から6年以上が経過していれば、たとえ汚してしまったとしてもクロスの価値は1円と見なされ、張替え費用を請求されることは原則ありません。
ただし、喫煙によるヤニ汚れは部屋全体に影響が及び、通常のクリーニングでは落とせないため、この経年劣化のルールの例外となることが多いので注意が必要です。
負担範囲（3）退去時費用を抑える対策方法
賃貸マンションの退去時における費用負担のトラブルを避け、無用な出費を抑えるための最も有効な対策は「記録」を残しておくことです。
まず、入居時には部屋中の写真を日付が分かるように撮影しておくことが重要です。
特に、入居した時点ですでに存在していた傷や汚れは、重点的に写真に収めておきましょう。
この記録が、退去時に「これは自分が入居する前からあった傷です」と主張するための客観的な証拠となります。
次に、退去の立ち会いです。
管理会社の担当者と一緒に部屋の状態を確認する際は、どの箇所の修繕がどちらの負担になるのかを、その場で一つひとつ確認し、不明な点があれば必ず質問しましょう。
もしその場で提示された見積書や精算書の内容に納得がいかない場合は、即座にサインをする必要はありません。
「一度持ち帰って検討します」と伝え、後日改めて回答する権利があります。
入居時の記録と、退去時の冷静な対応が、予期せぬ費用負担からあなた自身を守るための重要な対策です。
まとめ
マンションのクロス張替え費用について、具体的なイメージは掴めたでしょうか。
この記事では、ご自宅の間取りに応じた費用相場から、見積もりの詳しい内訳、思わぬ追加費用が発生するケースまで詳しく解説しました。
費用を抑えるには、量産品クロスの活用や相見積もりが有効です。
また、管理組合への届け出や賃貸の退去時の原状回復など、マンション特有の注意点も重要です。
この記事を参考に、信頼できる業者を選び、予算内で満足のいくクロス張替えというリフォームを実現させましょう。
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