「原状回復」と「現状回復」の違いは?あなたの負担はどこまでか診断

2025年06月23日(月)

賃貸物件の退去時に「原状回復」と「現状回復」という似た言葉を見かけて、どちらが正しいのか混乱していませんか?

この用語の違いを理解しないまま手続きを進めると、不要な費用負担や敷金トラブルに巻き込まれる可能性があります。

この記事では、「原状回復」と「現状回復」の正しい違いから、退去時の費用相場、国土交通省ガイドラインに基づく適切な工事範囲まで、退去準備で必要な知識を網羅的に解説します。

見積もりの妥当性を判断する方法や、店舗・オフィスの居抜き・スケルトン返しについても詳しく紹介します。

正しい知識を身につけることで、オーナーや管理会社と円満に交渉でき、安心してスムーズな退去を実現できるでしょう。

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「原状回復」と「現状回復」はどう違う?

賃貸物件の退去を控えている方なら、一度は「原状回復」と「現状回復」という言葉の違いに迷ったことがあるのではないでしょうか。この章では、賃貸物件の退去時によく混乱する「原状回復」と「現状回復」の違いについて紹介します。

これらの用語の違いには主に以下の内容があります。

  1. 法律上の「原状回復」の正しい意味と定義
  2. 「現状回復」の入力ミス・誤用による注意点
  3. 2020年民法改正で明確化されたルール
  4. 「原状復帰」との使われ方の差と業界での使い分け

法律上の「原状回復」の正しい意味

賃貸借契約における「原状回復」とは、借りた人が物件を退去する際に「入居した時の状態に戻す義務」を指します。

これは民法第621条や国土交通省のガイドラインで定められた正式な法律用語です。しかし、ここで非常に重要なのは、「入居時の状態=新品同様の状態」ではないという点です。

普通に暮らしていて自然に発生する損耗(通常損耗)や、時間の経過による劣化(経年変化)は、修理費用を負担する必要はありません。

借りた人が原状回復の義務を負うのは、わざと壊したり、不注意で傷つけたり、通常では考えられないような使い方をして生じた損傷・破損の場合に限られます。この線引きを正しく理解することが、退去時のトラブル回避につながります。

「現状回復」は入力ミス・誤用に注意

一方、「現状回復」という言葉は、法律で定められた用語ではなく、多くは「原状回復」の入力ミスや誤用です。

文字通りに解釈すると「現在の状態を回復する」という意味になり、退去時の義務を示す言葉としては不適切です。

しかし、実際の契約書などで誤って使われているケースも散見されます。その場合、基本的には「原状回復」と同じ意味で解釈されますが、万が一のトラブルを避けるためにも、契約時に確認しておくと安心です。

こうした用語の混乱が、貸主と借主の間の認識のズレを生み、トラブルの火種となりかねないため注意しましょう。

2020年民法改正でルールが明確化

2020年4月1日に施行された改正民法により、敷金の返還や原状回復義務に関するルールが、これまで以上に明確になりました。

最大のポイントは、「通常損耗」や「経年変化」については、特別な契約(特約)がない限り、借りた人は修繕費用を負担しなくてよい、と法律の条文に明記されたことです。

これは、それまでの裁判例やガイドラインの内容を法律として正式に認めた形なので、ルール自体が大きく変わったわけではありません。

しかし、法律という強力な後ろ盾ができたことで、貸主・借主双方にとって予測が立てやすくなったのです。

さらに、「傷や汚れが借りた人の故意・過失であること」は貸主側が証明する必要があることなども定められ、借り主を守るルールがより強固になりました。

「原状復帰」との使われ方の差

「原状回復」とよく似た言葉に「原状復帰」があります。この2つはほぼ同じ意味ですが、誰がどの場面で話すかによって使い分けられるのが一般的です。

  1. 原状回復:契約上の「義務」や「ルール」を指す言葉。貸主と借主の間で使われる
  2. 原状復帰:実際の「工事」や「作業」を指す言葉。建設業者などが使う

例えば、あなたが貸主と「原状回復の範囲」について話し合い、その内容に基づいて工事業者が「原状復帰工事」の見積もりを出す、という流れになります。

一方で、「現状復帰」は全く意味が違うので注意が必要です。この言葉のニュアンスを知っておくと、関係者との会話で混乱するのを防げます。

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原状回復の費用は誰が負担する?

退去時に最も気になるのが「結局、修理費用は誰がいくら払うのか?」という点ではないでしょうか。この章では、原状回復における費用負担の仕組みと判断基準について紹介します。

費用負担を考える上で、特に押さえておきたいのが以下のポイントです。

  1. 貸主負担となる経年劣化・通常損耗の具体的な範囲と判断基準
  2. 借主負担となる故意・過失による損傷の種類と責任範囲
  3. 減価償却の考え方を踏まえた公平な費用分担の仕組み

貸主負担となる経年劣化・通常損耗の例

費用負担のルールを理解する上で、最も重要なキーワードが「経年変化」と「通常損耗」です。

これらは、普通に生活していれば自然に生じてしまう物件の劣化や傷のことで、修理費用は月々の家賃に含まれていると解釈されます。そのため、原則として大家さん(貸主)の負担となります。

例えば、以下のようなケースは貸主負担となるのが一般的です。

  1. 家具の設置による床やカーペットのへこみ、跡
  2. 日光による壁紙やフローリングの色あせ
  3. テレビや冷蔵庫の裏の壁にできる電気ヤケ
  4. ポスターなどを貼るための画鋲の穴
  5. エアコンや給湯器などが、寿命で故障してしまった場合

これらは、誰が住んでも避けられない物件価値の低下であり、賃貸経営上のコストとして大家さんが負担すべきものとされています。したがって、もし退去時にこれらの修繕費用を請求されても、原則としてあなたが支払う義務はありません。

借主負担となる故意・過失による損傷の例

一方、借り主の「うっかり」や「お手入れ不足」、通常の使い方とは言えないような原因で生じた傷や汚れは、自己負担で修理する必要があります。

これには「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」という考え方が関係します。難しく聞こえますが、要は「借りている間は、一般的な常識の範囲で注意を払い、きちんと管理しましょうね」という義務のことです。

この義務を怠ったと判断されると、修理費用を請求されます。具体的には、以下のようなケースが該当します。

  1. 不注意による損傷:引越し作業でつけた壁の大きな傷、物を落としてできた床のへこみ、鍵の紛失
  2. お手入れ不足による汚損:結露を放置して発生したカビ、掃除を怠ったキッチンのひどい油汚れや水回りの水垢
  3. 通常と異なる使い方による損傷:タバコのヤニ汚れや臭い、ペットがつけた柱の傷や臭い、壁に開けた大きなネジ穴、子どもの落書き

これらは通常の生活の範囲を超えるものであり、借り主の使い方に原因があると見なされるため、費用負担の対象となります。

減価償却の考え方を踏まえた費用分担

借り主が修理費用を負担する場合でも、新品に交換するための費用を全額請求されるわけではありません。

ここで登場するのが「減価償却(げんかしょうきゃく)」という、不当な高額請求を防ぐための非常に重要な考え方です。

建物や設備は時間と共に価値が下がっていきます。そのため、借り主が負担するのは「新品の価値」ではなく、汚したり壊したりした時点での「残りの価値」だけでよい、という公平なルールです。

国土交通省のガイドラインでは、壁紙(クロス)やカーペットの耐用年数は6年とされています。例えば、耐用年数6年の壁紙を、入居3年で汚してしまい、張り替えに10万円かかるとします。

その場合、以下のように計算します。

  1. 価値の残存期間:6年(耐用年数) – 3年(経過年数) = 3年
  2. 借り主の負担割合:3年 ÷ 6年 = 50%
  3. 実際の負担額:10万円 × 50% = 5万円

もし入居から6年以上経過していれば、その壁紙の価値はほぼ1円(実質ゼロ)と見なされ、たとえ汚してしまっても原則として張替え費用を負担する必要はありません。この減価償却の知識は、適正な費用負担を実現するための強力な武器になります。

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店舗・オフィスの原状回復で押さえておきたいポイント

店舗やオフィスといった事業用物件の原状回復は、住居用とはルールが大きく異なり、費用も高額になります。この章では、事業用物件における原状回復の特殊性と注意点について紹介します。

特に、契約内容や退去方法で費用が大きく変わるため、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。

  1. 住居用物件とは異なる通常損耗の負担ルールと契約条項
  2. 「スケルトン返し」の具体的な工事範囲と高額な費用相場
  3. 退去費用を大幅に削減できる「居抜き」交渉の成功法

通常損耗も借主負担になる契約がある

店舗やオフィスなどの事業用物件の契約で、まず驚くのが「通常損耗も経年変化も、すべて借り主の負担」という特約が一般的である点です。

住居用では大家さん負担となるはずの床のへこみや壁の日焼けなども、事業用では借り主の費用で修繕するよう定められているケースがほとんどです。これは、事業活動は住居よりも物件に与える影響が大きいと見なされているためです。

事業者間の契約は、消費者保護法が適用されにくく「契約書の内容がすべて」という世界です。だからこそ、契約書にサインする前に、原状回復の範囲と負担区分を隅々まで確認することが、将来の想定外のコストを防ぐための唯一の防御策といえます。

「スケルトン返し」の範囲と費用相場

事業用物件の退去で特に高額な費用が発生するのが「スケルトン返し」です。

これは、入居時に自ら施した内装や設備をすべて撤去し、建物の骨組みだけの状態に戻して返還することを指します。費用相場は業種や物件のグレードによって大きく異なり、目安は以下の通りです。

種別 規模・業種 坪単価の目安
オフィス 小規模オフィス 35,000円~50,000円
中規模オフィス 40,000円~80,000円
ハイグレードビル 100,000円~500,000円
店舗 物販店 30,000円~80,000円
飲食店 50,000円~500,000円

撤去の対象は、間仕切り、壁・床・天井の内装、造作家具、照明、空調、配線など、入居後に設置・変更したもののほぼすべてに及びます。

例えば、20坪程度の小規模なオフィスであっても、50万円~100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。そのため、オフィスの移転計画を立てる段階から、原状回復費用として十分な予算を確保しておくことが極めて重要です。

費用を抑える「居抜き」退去の交渉術

高額なスケルトン費用を回避する強力な選択肢が「居抜き」での退去です。

これは、内装や設備をそのままの状態で次の借り主に引き継ぐ方法です。

成功すれば解体費用がゼロになるだけでなく、内装や設備を次の借り主に買い取ってもらう「造作譲渡」によって、思わぬ収入を得られる可能性すらあります。

ただし、居抜き退去を実現するには貸主の承諾が絶対条件です。また、次の借主を自ら見つける必要があります。

交渉を成功させるには、次の借り主を見つけておくことはもちろん、貸主側にも「空室期間がなくなる」といったメリットを上手にアピールすることが重要です。退去を決めたら、できるだけ早い段階から後継テナント探しと貸主への交渉を始めましょう。

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原状回復費用を安く抑える方法とは?

原状回復のルールは理解できても、実際に費用を抑えるにはどう動けばよいのでしょうか。この章では、賃貸借契約における原状回復費用を適正範囲に抑えるための実践的な方法について紹介します。

以下の4つの方法が、費用を抑える上で効果的です。

  1. 入居時の状態記録による証拠保全と不当請求の防止策
  2. 退去時清掃の適正範囲と過度な対応を避けるポイント
  3. 契約書の特約事項の確認と交渉余地の見極め方
  4. 複数業者からの見積もり比較による適正価格の把握法

入居時に部屋の状態を写真で記録する

原状回復費用を抑える最も効果的な方法は、入居時の物件状態を詳細に写真や動画で記録することです。

原状回復トラブルの多くは「入居前からあった傷・汚れ」なのか「入居中に発生したもの」なのかの判断が困難なことから生じます。客観的な証拠がない場合、損傷がいつ発生したのかを証明することが難しくなり、賃借人が不利な立場に置かれる可能性があります。

具体的には、壁、床、天井、建具、設備など物件の隅々まで日付がわかるように撮影し、既存の傷や汚れなどを詳細に記録しましょう。

写真や動画は信頼性の高い証拠となり、退去時の立会いで「元からあった損傷」を客観的に示す強力な材料として活用できます。

退去時の掃除はどこまでするべきか

退去時の清掃は通常の範囲内で十分であり、専門業者レベルの清掃は基本的に不要です。

専門業者による大掛かりな清掃は、通常の使用を超える汚損がない限り、次の入居者のためのものであり賃貸人負担が妥当とされています。

ただし、善管注意義務の範囲内での清掃は必要で、日常的な清掃を怠った結果生じた著しい汚れやカビは、賃借人の責任となる可能性があります。

契約書にハウスクリーニング費用の借主負担が特約として定められている場合は、その内容に従う必要がありますが、入居中は定期的な清掃を心がけ、著しい汚れの蓄積を避けることが重要です。

賃貸借契約書の特約事項を再確認する

契約書の特約事項を詳細に確認し、その有効性を検討することで、不当な費用負担を避けることができます。

特約はガイドラインの原則を変更する可能性があり、賃借人の負担範囲を拡大することがあります。しかし、全ての特約が有効とは限らず、著しく不当な特約や消費者契約法に抵触する内容は無効と判断される可能性があります。

退去前に契約書を再確認し、特約の内容とその有効性を検討することが重要です。疑問点や納得できない請求については、ガイドラインや民法を根拠に冷静に交渉し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。

複数業者から見積もりを取り比較する

複数の業者から相見積もりを取得し、内容と価格を比較することで、適正価格を把握し過剰請求を見抜くことができます。

原状回復工事の見積もりは業者によって大きく異なることがあり、相場を知らない賃借人は不利な立場に置かれがちです。実際に、相見積もりによって費用が半額近くになったという事例も珍しくありません。

最低でも2~3社から見積もりを取り、以下の点を比較しましょう。

  1. 「工事一式」ではなく、項目ごとに単価や数量が細かく記載されているか?
  2. 修繕範囲の面積(㎡)は妥当か?不必要に範囲が広くないか?
  3. 減価償却はきちんと考慮されているか?

手間はかかりますが、このひと手間が数十万円の差を生むこともあります。必ず実践しましょう。

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よくある原状回復費用トラブルの事例

知識や対策を学んでも、実際にどのようなトラブルが起きるのかを知らなければ、備えは万全とは言えません。この章では、賃貸物件の退去時に実際に発生している原状回復費用に関するトラブル事例について紹介します。

ここでは、特に多くの人が巻き込まれがちなトラブルの事例を見ていきましょう。

  1. 敷金の不当な流用と想定外の追加請求による金銭トラブル
  2. 通常損耗と故意・過失の区分の誤解釈による不当な修繕費請求
  3. ハウスクリーニング費用の過剰請求と特約の悪用事例
  4. 退去タイミングでの情報格差を悪用した高額見積もり提示

敷金が返金されず追加請求されるケース

賃貸物件の退去時に最も深刻なトラブルとなるのが、敷金が全額差し引かれた上で追加請求が発生するケースです。

敷金は本来、未払い賃料等の担保として預けるものであり、改正民法では退去後1ヶ月以内の返還が原則です。

しかし、実際には貸主側が通常損耗まで賃借人負担としたり、減価償却を適用せずに請求したりすることで、敷金を大幅に超える請求が発生することがあります。

具体的な事例は以下のとおりです。

  1. 6年以上住んで価値が1円のはずの壁紙の張替え費用を全額請求される。
  2. 敷金5万円なのに、見積もり15万円を提示され10万円の追加請求をされる。
  3. 寿命で壊れただけの給湯器の交換費用を「管理が悪かった」として請求される。

このような状況に対処するには、敷金精算書をガイドラインと照らし合わせて検証し、不当な点について具体的に反論することが重要です。

通常消耗なのに修繕費を請求されるケース

通常の生活で避けられない損耗を「賃借人の責任」として修繕費を請求されるトラブルは、原状回復に関する理解不足や意図的な誤解釈が原因で発生します。

ガイドラインでは、通常損耗や経年変化は原則として賃借人の負担範囲外と明確に定められています。

しかし、実務では「入居時より状態が悪くなっている」ことを理由に、法的根拠のない請求が行われることがあるのです。

  1. 画鋲の小さな穴を理由に、壁一面のクロス張替え費用を請求。
  2. 冷蔵庫裏の電気ヤケ(黒ずみ)を「汚れ」と見なし、クリーニング代を請求。
  3. 日光によるフローリングの自然な色あせを「変色させた」として修繕費を請求。

このような不当請求に対しては、入居時の写真記録を活用し、指摘された損傷が通常損耗に該当することを具体的に説明すると効果的です。

ハウスクリーニング代が不当に高額なケース

ハウスクリーニング費用の過剰請求は、特約の悪用や清掃範囲の不当な拡大、市場価格を大幅に超える単価設定によって発生する典型的なトラブル事例です。

ハウスクリーニング特約がある場合でも、その内容は合理的な範囲内でなければならず、著しく高額な費用や不必要な清掃項目の請求は不当とされます。

実際には以下のような不当な請求が横行しています。

  1. 相場を無視した高額請求:1Kのアパートで15万円(相場は2~5万円程度)など、市場価格を無視した金額を請求する。
  2. 不要なオプションの強制:特約にないエアコンの分解洗浄(5万円)などを「必須」として上乗せする。
  3. 貸主関連業者による割高設定:貸主の関連会社が清掃を行うことになっており、相場の2倍以上の単価が設定されている。

たとえ契約書に記載があっても、内容が一方的に借主へ不利益を与えるものであれば、無効だと主張できる可能性があります。

退去直前に高額な見積もりを提示されるケース

退去直前の高額見積もり提示は、賃借人の時間的制約と情報不足を悪用した非常に悪質なトラブル手法です。

退去日が迫った状況では、賃借人は十分な検討時間がなく、相見積もり取得や交渉が困難になります。この時間的制約を利用して、相場を大幅に超える見積もりや不必要な工事項目を含めた請求が行われることがあります。

また、「指定業者でなければ工事できない」といった圧迫により、不当な条件での合意を迫られるケースも多発しています。

  1. 退去1週間前に、相場の倍以上のスケルトン工事見積もりを提示する。
  2. 立ち会い当日に、次々と修繕項目を口頭で追加し、不安を煽る。
  3. 「緊急対応費」などの名目で、不当な割増料金を上乗せする。

このような状況を避けるには、退去日の2ヶ月前には原状回復の相談を開始し、複数業者からの見積もり取得時間を確保することが不可欠です。突然の高額見積もり提示には即座に合意せず、必ず内容を精査する時間を要求しましょう。

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高額請求を避けるためのトラブル対策

もし、実際に不当だと感じる高額な見積もりを提示されてしまったら、どうすればよいのでしょうか。この章では、高額な原状回復費用を請求されるトラブルを回避するための対策について紹介します。

適切な費用負担を実現するために、以下のポイントを詳しく解説します。

  1. 見積書を細かく確認するポイント
  2. 国土交通省のガイドラインを活用した交渉術
  3. 第三者機関に相談する方法

見積書の明細や単価を細かく確認する

退去時に業者から提示される原状回復費用の見積書は、各項目の明細や単価を細かく確認することが重要です。

特に、壁紙の張替え費用やクリーニング代などの内訳に注意しましょう。

一般的な相場を大きく超える高額な項目が記載されていないか、経年変化による自然な損耗分まで借主負担となっていないかを確認します。明確な説明がないまま費用が計上されている場合、業者に詳細な説明を求め、根拠のない請求があれば具体的に交渉しましょう。

ガイドラインを基に業者と交渉する

原状回復費用の交渉には、国土交通省のガイドラインを参考にすることが非常に有効です。

このガイドラインは原状回復義務の具体的な範囲を示しており、借主と貸主双方が公平に負担を分担するための基準です。

出典:国土交通省、原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

例えば、通常の生活によるフローリングの色あせや壁紙の日焼けといった経年劣化は貸主負担とされています。交渉時にこのガイドラインを提示することで、貸主や業者からの過剰な費用請求を防ぎ、適切な費用負担を実現できます。

国土交通省や国民生活センターへ相談する

業者や貸主との交渉で解決が難しい場合や、高額な費用請求に納得できない場合には、公的な第三者機関への相談が効果的です。

国土交通省が設置している不動産トラブル相談センターや国民生活センターは、専門知識を持った相談員が中立的な立場で具体的なアドバイスを行っています。

実際に過去の判例や事例をもとに判断基準を提示し、交渉方法についても助言してくれます。一人で悩まずに、早期に相談窓口を活用すれば、スムーズにトラブルを解決することが可能です。

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まとめ

マンションやアパートなどの賃貸物件の退去時によく混乱する「原状回復」と「現状回復」ですが、法律上正しいのは「原状回復」のみです。「現状回復」は入力ミスや誤用による表記なので注意しましょう。

原状回復費用は、経年劣化や通常損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担が基本です。店舗・オフィスでは契約内容が異なる場合があるため、契約書の特約事項を必ず確認してください。

費用を抑えるには、入居時の写真記録、複数業者からの見積もり取得、ガイドラインを基にした交渉が有効です。

高額請求されても慌てず、見積書の詳細確認や専門機関への相談を活用し、敷金をめぐる不要なトラブルを避け、適正な費用負担で円滑な退去を実現しましょう。

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