内装解体・原状回復・スケルトン工事の意味や違いは?それぞれの工事内容を解説

2019年10月23日(水)

物件をオーナーや管理会社に明け渡す時は、契約書や特約の内容に沿った方法で入居前の状態に戻さなければなりません。

具体的には、「内装解体工事」「原状回復工事」「スケルトン工事」のいずれかが必要となますが、それぞれの意味や違いは皆様ご存知でしょうか?

実際にそれぞれの工事についてしっかりと把握しておく方が、退去時の話し合いや交渉がスムーズに進み、トラブルを未然に防ぐことができます。

ここでは、3つの工事それぞれの意味や違い、工事内容、費用相場についてわかりやすく解説いたします。

内装解体とは?

内装解体とは、原状回復工事において店舗やテナントの内装部分の解体、搬送、破棄するまでを行う作業区分のことです。一般的に「原状回復工事」と言うときには、作業内容に内装解体工事も組み込まれています。

どんな時に内装解体が必要?

スケルトンで借りた物件に間仕切り、カウンター、厨房機器、照明器具、インテリア、什器などを店舗の雰囲気に合わせて設置していた場合、契約時の原型をとどめていないことがほとんどです。

店舗のオーナーや管理会社に物件を明け渡して退去するときには、これらを内装解体工事によって撤去・処分して、契約当時の状態にまで戻さなければなりません。既存設備まで解体してしまわないよう、オーナーや管理会社、解体業者としっかり打ち合わせをすることが大切です。

また、店舗やオフィスをリフォームする際に、部分的に内装を解体する場合もあります。

内装解体のメリット・デメリット

メリット

・短期間で工事が完了する

店舗やテナントの広さにもよりますが、内部解体は早ければ2~3日で完了することがほとんどです。建物の解体と違って悪天候で工事がストップすることもなければ、作業も比較的簡単なため、予定していた工期通りに工事が行われます。

・事前に残置物を減らして工事費用を安くできる

内装工事で発生した廃棄物はすべて産業廃棄物として処理されるため、通常の粗大ごみと比べて高くなる傾向にあります。そこで、残置物を不用品回収業者に回収してもらったり、リサイクルショップやオークションサイトで売ったりすれば、工事費用を安く抑えることができます。

デメリット

・破損トラブル

内装以外の配管や配線、共用部分などに破損が出てしまうと、最悪の場合は損害賠償に発展する可能性もあります。解体前には図面の確認や現地調査を行い、不明な点はオーナーや管理会社に問い合わせることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

・近隣店舗とのトラブル

内装解体中には騒音や振動、粉塵などが発生するため、着工前に店舗のオーナーや管理会社と打ち合わせをして、近隣店舗や住民へ挨拶と周知を行います。工事中も他店舗との共用部分への対応や作業員のマナーなどに注意が必要です。業者に依頼する際は工事のスキルのみならず、周囲への気配りができるか、具体的な対策があるかを確認しましょう。

・不法投棄のリスク

悪質な業者による産業廃棄物の不法投棄や不正ルートでの処理などが、たびたびニュース等で報道されています。不法投棄は依頼主だけでなく、ビルオーナーや管理会社にも迷惑を掛ける事になります。内装解体工事を依頼する前に、法律を遵守して適切な産業廃棄物の処理を行う業者かどうか、事前にしっかりと調べておきましょう。

内装解体工事の相場

内装解体工事の費用は、物件の種類や延床面積、解体する範囲、撤去する内装、駐車場の有無、アスベスト含有建材の有無などの要素で変動します。

参考までに、一般的な内装解体工事の費用相場は次のとおりです。

マンション 1万3,500~4万5,000円/坪
アパート 1万3,000~3万9,000円/坪
オフィス・テナント 1万2,000~4万2,000円/坪
飲食店 1万2,000~4万円/坪
ショップ 1万3,000~4万2,000円/坪

原状回復工事とは?

原状回復工事とは、退去時にテナントを入居前の状態に戻すことを指します。工事内容には内装解体と修繕が含まれ、スケルトン工事とは異なります。ただし、契約時の物件がスケルトン(構造・骨組み)状態の場合、原状回復工事に内装解体、スケルトン戻し、廃棄物処理などが含まれます。

店舗やオフィスを借りる場合、借主の使い勝手がいいようにクロスを貼り替えたり、テーブルやイスなどを設置したりといったさまざまな造作や設備を設置しているはずです。

退去する前にそれらを解体工事業者などに依頼して撤去・修繕してもらい、賃貸契約を結んだ当時の状態に戻したうえで、オーナーや管理会社などの貸主に明け渡さなければなりません。

どんな時に原状回復工事が必要?

店舗やオフィスの原状回復工事は、退去する前日までの賃貸契約の期間中に実施・完了しておかなければなりません。退去後に原状回復工事を行うことが多い住宅用と違うため、注意が必要です。工期の目安は30坪程度で1~2週間ほどですが、オフィスの状況や閑散期・繁忙期によって前後するので、早めに見積もりを依頼しましょう。

原状回復をしなくてはならない範囲は?

店舗やオフィスの原状回復は、契約時の特約によって細かく決められています。

事業用物件は住宅用と違い、原則として自然消耗や経年劣化も原状回復の範囲に含まれます。なぜなら、借主によって店舗やオフィスの使い方がまったく異なり、原状回復にかかる費用も予測できないため、原状回復義務はすべて借主にあると考えられているからです。

一方で、マンションオフィスのような小規模の物件では、借主の使い方がある程度限定され、原状回復にかかる費用も予測できるので住宅の原状回復におけるガイドラインに準拠します。

原状回復工事の相場

坪単価で見た店舗やオフィスの原状回復の費用相場は以下の表のとおりです。ただし、築年数や立地、グレードなどの影響で原状回復工事の費用相場にはかなりの幅があります。移転・退去時には余裕を持って原状回復業者に見積もりを依頼しましょう。

小・中規模オフィス 2~5万円/坪
大規模オフィス 5~10万円/坪

スケルトン工事とは?

スケルトン工事とは、建物の構造部分(骨組み)以外をすべて取り除く工事のことを指します。

たとえば、コンクリート打ちっ放しのオフィスビルを借りた場合、入居前に壁紙を貼ったり、カーペットを敷いたりしますが、ビルオーナーに明け渡す時はこれらをすべて解体・撤去する必要があります。

一方、居抜きの物件は、契約時に設備や什器、家具などが付いた状態がほとんどなので、退去時にスケルトン工事をおこなう必要はありません。

スケルトン解体はどんな時に必要?

店舗やオフィスの賃貸借契約では契約が終了した時に、契約書の特約に基づいて借主に原状回復義務が発生します。契約時の物件がスケルトン状態だった場合は、内装解体工事、スケルトン工事、廃棄物処理を行う義務があります。

内装解体工事では借主が設置した壁紙やカーペット、設備等をすべて撤去し、続くスケルトン工事で建物の構造物のみが残るようにします。

退去時にどこまで原状回復工事を行うかはすべて契約書に記載があるため、入居前に退去時のことを考えて契約内容をよく確認する必要があります。

スケルトン工事のメリット・デメリット

メリット

・内装のデザインやレイアウトの自由度が高い

スケルトン状態は建物の構造物しかないので、借主が内装のデザインやレイアウトについて自由に設計することができます。居抜き物件が既存の内装ありきなのに対して、借主のイメージ通りに店舗やオフィスを作り上げられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

・設備をめぐるトラブルが起こりにくい

スケルトン工事を行うと建物の構造物以外は全て取り払われます。設備はすべて新しい借主が揃えることになるため、オーナーや管理会社の設備を破損してしまったり、損害賠償に発展したりといったトラブルが起こりにくくなります。

・快適に過ごせる環境の構築

快適で落ち着ける雰囲気の店舗は、客足の増加や従業員のモチベーションにも繋がります。スケルトン状態であれば、一から借主の思い通りの環境が構築できます。

デメリット

・補強や補修にコストがかかる

古い建物のスケルトン工事では、腐食や破損が見つかるケースが少なくありません。原状回復のたびに内装は解体・撤去されますが、建物の構造物は長年に渡ってそのままというケースが多いからです。

老朽化を食い止めるためには、建物の補強や補修が必要になります。スケルトン工事と併せて行えるように、費用や日程にある程度の余裕をもたせておくことが大切です。

・初期費用が高い

スケルトン工事をした物件は建物の構造物しか残っていないため、内装や設備など店舗やオフィスに必要なものはすべて一から揃えなければなりません。内装のグレードを上げたり、揃える設備が多かったりすると初期費用が高くなってしまいます。

スケルトン工事の相場

スケルトン工事の費用は3~5万円/坪が費用相場です。10~20坪程度の小規模店舗であれば、20万~40万円ほどかかります。床面積が70坪を超える大型店舗はスケルトン工事だけで100万円を超える場合もあります。

撤去する設備が多い業種は付随する廃棄物処理の作業に時間がかかるため、さらに費用が高くなります。

まとめ

内装解体・原状回復・スケルトン工事のそれぞれの工事の意味や費用相場について解説しました。

いずれの工事も費用相場に幅があり、工事を依頼する業者によってかかるコストが大きく変わります。さらに、コスト面だけでなくトラブル発生のリスクも考慮した業者選びが大切です。

われわれインテリアエージェントは、東京・神奈川・千葉・さいたまを中心に年間1,000件以上の原状回復工事を手がけています。豊富な実績とノウハウにもとづく質の高いサービスを適正価格でご提供いたしますので、原状回復に関するご相談はぜひ当社にお寄せください!

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