オフィスの原状回復におけるトラブル事例・トラブルの対処法まとめ

2019年08月19日(月)

貸店舗や貸事務所、貸ビルから移転・退去するときは、必ず原状回復をして契約時の状態に戻す必要があります。

しかし、オフィスの移転・退去は数年に1回の出来事ですので、担当者の知識不足や貸主との解釈の違いなどで容易にトラブルが発生してしまいます。最悪の場合は裁判に発展することになり、スムーズなオフィス移転が妨げられるケースも考えられます。

今回はオフィスの原状回復におけるトラブル事例をご紹介するとともに、トラブルの対処法についても解説します。

紹介する事例は原状回復トラブルでよくあるケースですので、詳しく知りたい場合は設置したリンク先の記事もご確認ください。

オフィス原状回復でよくあるトラブル事例

貸主の指定するリフォーム業者の見積もりが高すぎる

オフィス移転をすることになり、貸事務所の管理会社が指定するリフォーム業者より原状回復の見積書が届きました。しかし、指定業者の見積もりが想定していた価格よりもあまりに高額で驚いてしまいました。

別の業者に貸事務所の原状回復工事の価格を見積もってもらったところ、指定業者よりもかなり安い価格で原状回復できることがわかりました。

自社が独自に依頼した見積もり内容と価格をもって、指定業者と金額の交渉は可能なのでしょうか?

ポイント

契約書に「原状回復工事はビルオーナーや管理会社が指定する業者に依頼しなければならない」という特約があれば、それに従わざるを得ません。借主が単独で指定業者と減額交渉をしても難航するおそれがあるので、専門家に相談したうえで工事範囲や工事費用について適正かどうか、調査をしてから交渉に臨むべきです。

原状回復工事の見積書を確認する6つのポイント »

貸主の提示する工事費用の妥当性を判断できず交渉が難航

貸店舗をスケルトンで借りた借主は、退去するにあたり原状回復費用に関して貸主と交渉することになりました。

借主は貸主側から「工事費用は得意先の原状回復業者にお願いするから、相場より安い90万円でお願いしたい」と提案されます。

しかし、借主は貸店舗の原状回復費用の相場がわからず、貸主が提示した工事費用の妥当性を判断できません。

貸店舗のスケルトン工事90万円は本当に相場より安いのか、それとも実際は相場より高いのか、判断できなかったために交渉は難航しました。

ポイント

借主側は原状回復費用の相場を知らないことがほとんどです。相場の費用を知らずに貸主と交渉しても、金額の妥当性を判断できないため、交渉は難航してしまいます。

オフィス原状回復工事はいくらかかる?費用相場や坪単価について解説 »

返還されるだろうと思っていた敷金・保証金が返ってこないようで困っている

借主は貸オフィスを退去することになりましたが、ビルオーナーから出てきた原状回復工事費用の見積り金額が敷金・保証金とほぼ同額になっていました。

借主が費用相場をネットで調べたところ、ビルオーナーが提示する金額があまりにも高すぎて不自然に感じたそうです。

すでにビルオーナーが指定した工事業者が原状回復工事を行うことが決まっていたので、相見積もりもできず泣く泣く承諾したとのことです。

ポイント

入居時に納めた敷金・保証金とほぼ同額の原状回復工事の見積もりが出されるケースは少なくありません。相場よりも高い工事費用には本来必要のない工事が含まれている可能性もありますので、原状回復費の適正な見積もりを取ることが大切です。

オフィス退去時に敷金はどれくらい返ってくる?原状回復と敷金・保証金のまとめ »

敷引とは別にカーペットやクロスの原状回復費用が発生した

賃借人が貸事務所を退去する際、敷引(退去時の原状回復費用)はあらかじめ75万円と決まっていましたが、賃貸人から「カーペットとクロスを原状回復する必要があるので、別途保証金から20万円を負担してほしい」と言われました。

賃借人は「カーペットとクロスの損耗は通常損耗なので、こちら側が負担する義務はない。国交省のガイドラインにも記載がある」と交渉を試みました。

しかし、賃貸人は「国交省のガイドラインは住宅用の物件についての話で、事務所の場合は契約書の特約が絶対だ」と譲りませんでした。

この20万円は賃借人が負担しなければならないのでしょうか?

ポイント

国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はあくまでも住宅用賃貸に適用されるもので、オフィス・事務所用賃貸には基本的に適用されません。事業用賃貸の場合は、契約書の原状回復に関する特約が効力を持ちます。

オフィス・事務所の原状回復義務はどこまで?借主の範囲やガイドラインについて解説 »

原状回復工事のタイミングを間違ってしまい、慌てて工事をする羽目に

初めて借りた貸事務所を移転するに伴い、オフィス引越しの準備をしていたらオーナーから「原状回復工事はまだか?」と問い合わせ。

てっきり退去後に原状回復工事をすればいいかと思っていたが、契約書を確認すると契約期間中に原状回復工事を行う旨の記載が。

契約書を確認していなかったばかりに慌てて工事をする羽目になり、即時対応が可能な施工業者を探すのに苦労した。

ポイント

住宅用賃貸の場合は退去後に原状回復工事を行いますが、オフィスや店舗の場合、契約期間中に原状回復工事を行うのが一般的です。原状回復工事の日取りについて施工業者と調整をしなければならないので、退去の予定が決まったら早め早めに行動を起こしましょう。

オフィス原状回復のスケジュールは?知っておきたい工事期間やタイミング »

貸主・借主の「契約前とまったく同じ状態に戻す」の解釈をめぐるトラブル

借主はオフィス移転のために契約書に記載のあった「スケルトン状態にして引き渡し」に沿って原状回復工事を完了したところ、いざ引き渡しという段階で貸主から「今の状態は原状回復になっていない。すべて『契約前とまったく同じ状態に戻して』引き渡すこと」と指摘を受けました。

契約書には「スケルトン引き渡し」とあるにもかかわらず、「契約前とまったく同じ状態に原状回復をせよ」とは、貸主の言い分を飲むしかないのでしょうか?

ポイント

契約書の内容について貸主と借主の解釈が異なるケースは珍しくありません。トラブルの解決を図るためには契約書を法律と照らし合わせ、なおかつ専門家による現場調査に基づいて交渉する必要があります。

店舗の「原状回復」「内装解体」「スケルトン」の違いとは? »

原状回復トラブルを未然に防ぐ予防策

入居時の契約内容をしっかりと確認しておく

オフィスの原状回復トラブルが起きやすい原因の多くは「契約書の内容を精査したうえで事前交渉をしなかったこと」にあります。したがって、原状回復工事を行った後に「契約書の記載通りの原状回復を行っていない」「契約書の内容についての解釈が貸主・借主で食い違う」「通常損耗や経年劣化の原状回復の負担でもめる」といったトラブルが起こってしまいます。

住宅用賃貸物件であれば、国交省のガイドラインが原状回復範囲の判断の基準となりますが、オフィス用物件の場合はガイドラインよりも契約時の特約のほうが優先されます。

原状回復トラブルを未然に防ぐには、入居時にどのような契約をしたのか契約書を精査するとともに、ビルオーナーや管理会社と契約内容についての認識を共有しておくことが重要です。

適正価格の原状回復業者に依頼する

原状回復で最も揉めやすいのが工事費用に関することです。たとえ原状回復についての解釈が貸主・借主の双方で異なっていても、許容できる範囲内の工事費用で収まっているのならば、交渉が難航することもありません。

原状回復工事を行うにあたっては、適正価格の原状回復業者に依頼することが重要です。

しかし、一口に「適正価格」と言っても業者側と依頼者側では判断基準が異なります。依頼者側が注意すべきは、「安かろう悪かろう」のケースがあるということです。コストダウンが業者の企業努力によるものであれば問題ありませんが、手抜き工事によるものであれば適正価格とは言えません。

適正価格でなおかつ品質の高い原状回復工事を提供する業者を見極めるためにも、複数の業者の無料見積りサービスを利用し、原状回復の価格とサービス内容、工事実績を比較検討することが大切です。

まとめ

貸主と借主の間で原状回復をめぐってトラブルが発生すると、スムーズなオフィス移転に支障をきたしてしまいます。

トラブルを未然に防ぐためにも、次の3つのポイントをおさらいしておきましょう。

  • 契約前に契約内容や特約を精査する
  • オフィスの原状回復工事や工事の適正価格について理解しておく
  • 退去前に工事の見積もりが適切かどうか専門業者に相談する

トラブルの回避と無駄のない原状回復工事を両立させるためには、適正価格で品質の高い原状回復工事を提供する業者選びが重要です。

インテリアエージェントは、東京・神奈川・千葉を中心に年間1,000件以上の施工実績を持つ、原状回復・ハウスクリーニングのプロフェッショナルです。

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